【人手不足の企業が半数越え】日本の中小企業の人手不足を防止するための対策をわかりやすく解説!

みなさんこんにちは、メディア編集部の益田です。

企業の人手不足は今や日本の多くの企業が感じている共通の問題となっています。

正社員の人手不足を感じている企業が2019年11月以来、2年10カ月ぶりになんと半数を超えました。

経営者同士の会話の中でも、人手不足が議題になることが多いのではないでしょうか。

また人事担当者の方は常に頭を悩ませているのではないでしょうか。

人手不足に陥ってしまっている企業様も、

もう少しで人手不足に陥りそうで危機感を覚えている人事担当者の方もぜひ参考にされてください。

人手不足の原因と解決策について記事で解説していきます。

1.日本中で起こっている人手不足の現状

世界で一番人手不足が深刻なのは、日本です。

(※出典:内閣府 第2-1-7図 人手不足の国際比較

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je19/h06_hz020107.html

日本の人手不足の現状はこのようになっています。

正社員の 人手不足割合は50.1%、非正社員は30.4% ともにコロナ禍(2020年4月以降)で最大

(※出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/1553d5e3a8a3f8e276730abf60c3831de4fc6b83

こちらの記事にもあるように、強い人手不足感を企業が感じています。

人手不足の原因は、

・少子高齢化

・企業の求人と求職者の希望のミスマッチ

だと言われています。

人口減少の流れは止まらず、少子高齢化による働き手の世代の人口(生産年齢人口)の減少が起き、

仕事を探す求職者は、自分のスキルに見合った仕事を探すため、

企業の求めている人材とのミスマッチが起こり、採用に繋がらず、

人手不足に陥っている企業が多く存在しています。

(※出典:
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/html/b1_4_1_1.html

こちらの表は、従業員数299人以下の企業(中小企業)の求人数が2015年以降急激に増加しているのに対して、就職希望者数が大幅に減少しているのを示しています。

そして、求人倍率が2018年以降急上昇しています。

これは中小企業が人手不足を強く感じ、求人を増やした結果、求人倍率が急上昇した結果と読み取れます。

しかし悲しいことに、中小企業への就職希望者数は2017年から減少し続けています。これが中小企業の現実です。

人手が必要な中小企業がたくさんあるのに対して、就職希望者数が全く増えていません。

大企業と違い、企業のことを知られていない中小企業は、採用マーケティングがうまくできていないケースが多く、

結果求職者に選ばれず、人手を募集しているのに人手が集まらない負のスパイラルに陥っています。

(※出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/html/b1_4_1_1.html)

こちらの表は、従業員300人以上の企業(大企業)の求人数ですが、ほぼ横ばいです。

求人数に対して、就職希望者数が上回っており、大企業は採用が容易であることを示しています。

人手不足を感じているのは、日本の企業の99.7%を占めると言われている中小企業であり、

大企業はそこまで人手不足感を感じておらず、採用にも苦戦していないことがわかります。

2.日本の人手不足はいつまで続くと予測されているか?

日本の人口は急激に減少しており、特に2020年以降急激に減少しています。

(※出典:総務省統計局人口推計 令和4年(2022年)6月確定値、令和4年(2022年)11月概算値) (2022年11月21日公表) https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

総人口が減少しているのですから、もちろん生産年齢人口も減少していきます。

(※出典:中小企業庁 第2節 日本の人口動態と労働者構成の変化https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html)

黄色で示されている15~64歳の生産年齢人口が減少しているのが分かります。

2020年以降も着実に減少していき、代わりに75歳以上の高齢者が増加しています。

これから日本に押し寄せるのは超高齢化社会で、生産年齢人口は減少の一途を辿り、

この流れは変わることはないでしょう。

2030年問題

2030年には国民の3人に1人が、65歳以上の後期高齢者になると言われており、

人口が減少している中、65歳以上の国民が増えるということは、

15-64歳の生産年齢人口が減少し、

・労働力不足
・社会保障費用の増大
・GDP(国民総生産)の低下
・地方都市の衰退
・現役世代の負担増大

このような様々な問題を引き起こします。

これらの問題が噴出してくると言われているのが「2030年問題」です。

(※出典:いちばんやさしい終活ガイド https://syukatsu-life.com/article/2030mondai

3.人手不足に対する政府や厚生労働省の見解は?

内閣府の見解

(※出典:内閣府 平成28年度 年次経済財政報告 第2-1-1図 人手不足の進行https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/h05_hz020101.html

内閣府の見解は、

人口減少下における労働面からの成長への下押し圧力を緩和していくためには、女性や高齢者等の労働参加の促進と労働力の質の向上に取り組むとともに、少子化をできる限り早期に反転させていくことが必要である。

副業・兼業を実施する働き手や受け入れ企業が実感する効果を踏まえると、副業・兼業は労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成に資することも期待されるほか、人手不足に対応するための有効な手段になり得ると考えられる。副業・兼業の成功例や課題克服の経験の共有、ガイドライン普及等の政府による後押しを通じて、取組が広がっていくことが期待される。

簡単にまとめると、

副業には企業にも労働者にもメリットがあるので、どんどんやるべきであり、
人手不足の対策にも成り得るので、副業をする個人がどんどん増えたら良いと思っている。

厚生労働省の見解

厚生労働省の見解は、

正社員に対する人手不足感が高まっていることが明らかとなった。そして、当該人手不足感は、相対的に中小企業において、また、業種としては「製造業」「建設業」などにおいて、高まっている状況にある。「パートタイム」では、相対的に中堅企業において人手不足感が高まっており、業種としては「生活関連サービス業,娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」「金融業、 保険業」などにおいて、高まっている状況にある。なお、2019年2月調査における、人手不足感を示すD.I.の水準をみると、「正社員等」では、「建設業」の水準が最も高く、次いで、「情報通信業」「運輸業,郵便業」「学術研究,専門・技術サービス業」「不動産業,物品賃貸業」が高い状況となっており、「パートタイム」では、「生活関連サービス業,娯楽業」の水準が最も高く、次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」「宿泊業,飲食サービス業」「卸売業,小売業」「運輸業,郵便業」が高い状況となっている。

→正社員「製造業」「建設業」が不足

パートタイム(中小企業が特に不足)「生活関連サービス業,娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」「金融業、 保険業」が不足

相対的に正社員に対する人手不足感が高まっており、特に、相対的に中小企業において高まっていることを確認してきたが、本分析結果からは、当該人手不足感は地方圏において相対的に高まっているという特徴が補足的に明らかになった。

→地方において人手不足が深刻

地方圏では、経営者の高齢化に伴い、事業継承の課題がより顕在化していく懸念があり、M&Aのための専門人材に対する人手不足感は、より高まっていく可能性が考えられる。

→地方での経営者の高齢化が問題化しており、それにより事業の継承が上手に行われず、M&Aの専門人材の人手不足が深刻

一部の人手不足企業では、人手不足に伴う業務の多忙化や人材不足等により、今後さらに労働生産性の向上に取り組むことが困難になっていく可能性も考えられる。

これまでの分析結果を踏まえると、多くの企業にとって労働生産性の向上は共通の課題となっている中、特に、人手不足に直面している企業では、人手不足を契機として、労働生産性の向上により一層積極的に取り組む意向が強いものの、一部の人手不足企業では、日々の業務遂行に追われ、労働生産性の向上に取り組む余裕がないだけでなく、労働生産性の向上に関する取組のノウハウを持つ人材の不足等により、労働生産性の向上に「取り組めない」厳しい状況であることが示唆される。

→人手不足の解消には労働生産性の向上が必須だが、人手不足の企業ほど労働生産性の向上をしたいと思っているものの、日々の業務に追われて取り組む余裕がなかったり、労働生産性の向上のノウハウを持っている人材がいなく、労働生産性の向上に取り組めない状況となってしまっている

(※出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html

(※出典:厚生労働省 令和4年版労働経済の分析【概要版】 https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000981627.pdf

人手不足に陥る会社の特徴

人手不足に陥る会社の特徴は、

・労働環境が悪い(パワハラセクハラがある、休みが取れない、長時間労働、サービス残業)

・人間関係が悪い

・給料が安い

・スキルが身につかない

・評価制度がない です。

労働環境が悪いとその職場にいたくなくなりますし、人間関係が悪くコミュニケーションがうまく取れていないと会社の雰囲気も悪くなり、活気がなくなります。

(※出典:退職理由のホンネと建前 2022年版 https://partners.en-japan.com/special/220124/

本当の退職理由について、こちらに出ている理由が本音です。

人間関係、給料、社風、評価制度…人手不足の会社の共通項とまさに同じだとはいえないでしょうか?

人手不足に陥る会社、仕事を辞める従業員、問題の根っこは同じなのかもしれません。

中小企業が人手不足に陥ってしまう3つの理由

求人掲載数の増加

(※出典:マイナビ キャリアサーチLab 2022年10月度 正社員求人掲載数・応募数推移レポート

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20221110_38956/

2018年の求人掲載数を100%とした場合、現在の求人掲載数がどれほどであるかを示したグラフになります。

2022年10月の掲載数は、2018年と比べて144.6%ということで、大幅に増加しているのがわかります。

多様な働き方が存在している現代では、求人も多種多様になってきており、求人の掲載数が大幅に増加しています。

求人掲載数の増加に伴い、多すぎる求人情報に溢れて、なかなか希望の求人が見つからなかったり、応募にまで至らないケースが増えたことも予測されます。

2022年10月の応募数は、2018年と比べて97.5%となっています。

需要と供給のミスマッチ

有効求人倍率は、2022年1月から9月までで、1.20→1.21→1.22→1.23→1.24→1.27→1.29→1.32→1.34と、上昇し続けています。

(※出典:職業紹介-都道府県別有効求人倍率 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0210.html

有効求人倍率が上昇しているということは、求職者にとっては就職しやすい状況であり、企業にとっては人手不足感が強いです。
(有効求人倍率が低いほど就職が難しいという状況です。)

現在は求人数が多い状況であり、仕事の内容も多種多様となっています。

売り手市場のため、条件の良い仕事に人が集まりますが、

そうでない仕事には募集をかけても、全く人が集まらないという状況になっています。

会社の認知度不足

大企業のように大々的な広告ができるわけではない中小企業は、求職者に対しては認知度がほぼない状態です。

大企業は社員数が多く、社員の業務割振にも余裕がある場合が多いですが、

中小企業は少ない人員で複数業務をこなし業務を兼任をしていることが多いです。

中小企業は、採用活動に割ける時間もお金も大企業には到底敵いません。

求人を出しても、求人数が多い昨今では、他の求人に埋もれて求職者にアピールをすることが難しくなっています。

少子高齢化における労働力不足の解決策と防止策

労働力不足の解決策

・多様な新しい働き方に対応

フレックスタイム制度とは、日々の始業・終業時刻や働く時間を労働者自身が自由に決めることができる制度です。

業務に対して柔軟な働き方の対応をすることで、満足度高く働いてくれる社員が増えて、採用の際にも、メリットとして求職者に訴求が可能になります。

働いている社員にはもちろんありがたい制度ですし、仕事を探している人にとっても好条件なので、仕事を選んでもらえる確率が上がります。

・福利厚生の充実

求人情報は、つい企業目線で書いてしまいがちですが、仕事を選んでもらうためには労働条件の見直しが必要です。

福利厚生を改善することで、求職者へのアピールに繋がりますし、今いる社員たちの満足度の向上に繋がります。

・業務の見直し

業務の見直しをして無駄を省くことで、生産性の向上に繋げ、少ない人員でも業務が円滑に進むようにしていくことが可能です。

労働力不足の防止策

・IT化
人手がかかる部分を極限まで減らし、IT化を推進することで、

労働力が減っても業務に滞りがないようにすることが可能です。

一気にIT化をするのは容易ではないので、日頃から少しづつできることを推し進めることが大事です。

・社員のエンゲージメントを高める
エンゲージメント(engagement)とは、「婚約」「約束」「契約」を意味する英単語です。ビジネスシーンで使用する場合、「深いつながり」「信頼関係が築かれた状態」を表し、対・従業員と対・顧客として用いる場合があります。

従業員のエンゲージメントが上がることで、

貢献意欲が高まり、仕事のパフォーマンスが上がり、生産性の向上に繋がる

生産性が向上すると業績が好転する

従業員へ還元できる

従業員の定着に繋がるため、人手不足の解消になる、離職の防止に繋がる

このような図式となり、メリットがたくさんあります。

人手不足で対策を施して成功した事例

◆厚生労働省 (※出典:第3回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の表彰対象企業を決定 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000472436.pdf

最優秀賞 厚生労働大臣賞(中小企業部門) 

1.アップコン株式会社 業種:建設業 所在地:神奈川県 従業員数:35 人 

【健康増進の取組みや資格取得の推進により、従業員の自主性・モチベーションを高め生産性を向上】

 「健康活動ポイント制度」

(ウォーキング、禁煙などを行うことによりポイント付与。ポイントはギフトなどと交換できる。)を 整備した結果、従業員の病欠や遅刻の大幅減少に成功。

 能力とやる気があれば、いつまでも働ける環境を整備するとともに、「常に新しいことにチャレンジし自分を高めていく」とい う意識を持たせるため、資格取得推進の一環として日本語検定3級(日本語を使う者を対象とした検定)を全社員が入社して1年 以内に取ることを必須とした結果、コミュニケーション能力の向上や報告書作成時間の短縮を実現。 

また、従来2名体制で行っていた施工や調査の際の削孔業務について、実用新案を取得した集塵アタッチメントを使用すること により、当該業務を1名で実施可能となった他、ウレタン樹脂を使用した用途開発に取り組むこと等により付加価値向上。

 さらに、過去には 80 歳以上まで働いていた社員がいるなど、能力とやる気があれば年齢によらず就労できる環境を整備すると ともに、年齢による処遇を変更しないこととしている。 

<ポイント>

 ★会社の理念である「健康第一」を達成するため「健康活動ポイント制度」を導入し、病欠・遅刻の大幅減少に成功 

★日本語検定の受検を必須とし、報告書作成時間の短縮に成功(作成時間:6.71 時間(2014 年)⇒2.63 時間(2017 年))

 ★施工や調査の際の削孔業務において新技術を用いることにより生産効率上昇

 ★定年退職制度がなく、年齢による処遇変更をしていない

最優秀賞 厚生労働大臣賞(中小企業部門)

2.株式会社荒木組 業種:建設業 所在地:岡山県 従業員数:203 人

【社内コミュニケーションの活性化を図る施策及び協力会社との連携強化により生産性を向上】

働きやすい職場づくりの一環として、「ありがとうカード」で感謝の気持ちを社員等に伝える取組を導入し、社内コミュニケーションを活性化。

休暇取得に向けた積極的な取組を実施。

また、職長を育成する勉強会(アラキ・アカデミー、毎月3回実施)において、様々な工種の協力会社の社員とともに同一の場で学ぶことで協力会社の社員とのコミュニケーションを円滑化。

人材育成をする余裕がない協力会社が勉強会に参加することにより、安全管理面での荒木組社員の管理負担の軽減及び労働時間の削減。

さらに、土木現場の測量にドローンを活用することにより作業速度が向上。

また、全事務所から繋がる共通のファイルサーバーを設置し、業務効率化・業務の見える化を実現。

通常の年次有給休暇に加え、会社の営業日である祝日・祭日の日数分(約 15 日程度)を「家族休暇」として付与し、業務に支障がない者には祝日・祭日の休暇を奨励。

<ポイント>

★「ありがとうカード」の取組により、社員がお互いを尊重できる職場風土づくり

★協力会社との関係性を強化するため、様々な工種の職長能力教育を実施

★ドローンや IT を活用することにより業務を効率化

★休暇取得の促進のため年次有給休暇に上乗せして、祝日・祭日の日数分の「家族休暇」を付与

(※出典:厚生労働省 第3回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の表彰対象企業を決定しました https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02993.html

こちらのサイトには生産性を上げた企業の取り組みが多数紹介されていますので、ぜひ参考にされてください。

自分の会社に合った対策は必ずあります。

毎日改善を重ねて最善の結果が出せるよう日々進んでいきましょう!

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