年々深刻化する日本の中小企業の人手不足問題とは?原因と対策について【わかりやすく解説】
【あなたの社長室】日本の人手不足は年々深刻化しており、悩んでいる企業も少なくありません。人手不足問題には一つだけでなく様々な要素が絡んでいます。人手不足の原因と対策を紹介しています。
みなさんこんにちは、メディア編集部の益田です。
このところ「ヒト」や「人材」について経営者の方にお伺いすると、即答でこんなお声をいただくことが前にも増して多くなりました。
「手が足りていなくて、現場が大変・・・」
「今、社員が辞めると現場がストップしてしまいそうな状況・・・」
「事業展開のために優秀な人材を確保したいのに見つからない・・・」
皆さんの中にも「ウチも!」と思われた方、多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では、
企業の人手不足・人材不足の原因や対策、おすすめの取り組み方法についてご紹介いたします。
貴社の人手不足・人材不足解消のみならず、業績改善、生産性向上、あるいは働き方改革の際に参考になれば幸いです。
目次
1.人手不足はなぜ深刻化したのか
人手不足・人材不足の主な原因は、
・少子高齢化
・企業と求職者のミスマッチ
ではないかと言われています。
まずはこの2つと人手不足・人材不足の関係について見てみましょう。
少子高齢化
総務省のデータによると、この先30年間、2050年までに約3割もの生産年齢人口が減ると予測されています。
つまり、企業の成長を担う働き手が大幅に減る、ということ。
※出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」
少子高齢化は業種・業界を問わずあらゆる企業にとって人手不足・人材不足を引き起こす共通の原因と言えそうです。
企業と求職者のミスマッチ
少子高齢化が進んだ結果、コロナ禍の特殊な時期を除いて、有効求人倍率(有効求人数÷働きたい人の数の数値)は上昇しています。
企業が人材を取り合っている状況です。
しかも、企業が求人を行う際、待遇や福利厚生などで有利な条件を提示できる企業と、提示できない企業に差がついてしまうため、
求職者が集まりやすい企業と集まりにくい企業が出てきてしまいます。
求職者側も、選択肢が多い分、多少条件が良くても「やりたくない仕事は結局やらない」という選択をする傾向が強まり、企業と求職者のミスマッチが発生します。
2.より大きな影響を受ける中小企業
人材不足・人手不足が加速する中で、実はより大きな影響を受けているのが、地方企業や中小企業です。
少子高齢化は地方の方が深刻
少子高齢化は都市部よりも地方の方が深刻です。
内閣府の試算では、都道府県別の2045年の高齢化率は、最も高い秋田県でなんと過半数越えの50.1%だそうです。
地方は働き手となる人の数が少ないため、例えば新卒採用における母集団形成がそもそも困難になるなど、状況が都市部に比べ、より深刻化していきます。
採用にコストがかけられない中小企業
人材確保にかけられるコストは10万円以下という中小企業は約半数という調査もあり、資金力がない中小企業は充分な採用活動すら展開できない状態なのです。
しかも上記の調査が2014年のものだと考えると、人材不足・人手不足はもともと資金的余力の少ない中小企業では既に常態化していると言えるのではないでしょうか。
3.人手不足によっておこる悪循環
人手不足・人材不足が常態化してくると、様々な悪影響を及ぼし、それらが相互に影響し合い、負のスパイラル(悪循環)を引き起こしていきます。
一人当たりの業務負荷が増える
人手が不足しても、それだけではすぐには会社全体の仕事量は減りません。
結果的に従業員一人当たりの業務負荷は増えます。
業務負荷が増えると、ある程度は時間外労働、つまり残業によって、足りない人手を時間で補おうとします。
しかし、オーバーワークが続くと、モチベーション低下、ストレス増大、ミスや事故の増加を引き起こすだけでなく、腰痛や眼精疲労、頭痛といった身体的な健康にも影響が出る場合があります。
一人当たりの業務負荷が増えることで、一人当たりのパフォーマンスが下がっていくのです。
離職率が増加する
業種・業界によって平均的な離職率は違いますが、オーバーワークが常態化することで、離職率は確実に悪化します(要データ)。
採用活動をする人的・資金的余力が少ないにも関わらず離職率が高止まりしてしまった場合、人手不足が一層加速しかねません。
事業縮小や倒産の可能性
深刻な人手不足が続くと、次第に業績に直接的な影響が出てきます。
製造量を下げざるを得なかったり、工期が長くなってしまったり、営業人員を減らさざるを得なかったり・・・。
要するに売上をあげてくれる人が減ってしまうのです。
事業縮小の方向へ舵を切ったり、ひいては倒産を視野に入れないといけない、なんてことは考えたくもない事態です。
4.人手不足から脱却するためには
人手不足・人材不足の負のスパイラルに陥った企業には、もはや打つ手はないのでしょうか。
ここからは、人手不足・人材不足から脱却するための方法を見ていきましょう。
ITツールの導入
ITツールをうまく導入・運用することにより、問題解決に繋がる可能性があります。
例えば、
<導入前>情報共有のために長時間の会議を開いていた
<導入後>グループウェアを導入したことで、会議に使っていた時間を他の業務に費やすことが出来るようになった
といった方法です。
ITを活用することにより、いわゆるノンコア業務に割いていた時間や人員をコア業務に回すことができるようになり、人手不足の解消に役立ちます。
ただし、重要なのはツールを導入する事ではなく、ツールを活用して人手不足解消などの問題解決に役立てること。
導入することそのものが目的となってしまい、逆に人手不足解消の足かせとなってしまうこともありますので注意したいところです。
リモートワークの導入
新型コロナウィルスの流行発生後、感染予防の観点からリモートワークの導入が大幅に推し進められた事は記憶に新しいと思います。
当時は感染予防と事業継続の両立が主な目的でしたが、これからは人手不足を解消するための手段としてリモートワークの導入が促進されていくでしょう。
例えば、ヤフーなどです。(要引用)
しかし、リモートワークにも課題があります。
・リモートで出来る仕事と、そうでない仕事がある
・社内コミュニケーションの希薄化による帰属意識やモチベーションの低下
・書類のペーパーレス化やセキュリティ対策が必要
・モチベーションの維持が難しい
・人事評価が難しい
こうした課題がリモートワークにはありますが、それでもパソコン一台とネットワーク環境さえあれば、自宅にいながら生計を立てられる時代の到来は、企業の人手不足解消にとっても新しい選択肢となっているのは間違いなさそうです。
企業の魅力を発信する
採用に大きな資金を投入することは出来なくても、SNS等を通じて自社の魅力を発信することで採用力を高め、人手不足・人材不足を解消するという方法が注目されています。
あるタクシー会社ではTikTokを使って従業員であるタクシードライバーが面白い動画を投稿したことで”バズ”り、求人募集が大幅に増えたという事例があります。
外国人・高齢者・障がい者の採用
少子高齢化により生産年齢人口が減少しているため、今まで活用されてこなかった人材の活用が注目されています。それが、育児中の女性・高齢者・外国人です。
男性の育休取得の推進や、高年齢者雇用安定法の改正、特定技能と呼ばれる枠組みによって外国人労働者を受け入れやすくするなど、国も企業に対して人材活用の幅を広げるよう働きかけています。
雇用形態の変更
今まで正社員で雇用していた人材を、準社員や時短社員、あるいはパート社員などに雇用形態を変更することで、結婚や出産など、ライフステージ変化に伴って離職を余儀なくされていた従業員に、仕事を続けるという選択肢を用意することができます。
フリーランス・副業人材の活用
会社に必要なスキルを持っているフリーランスや副業人材に、必要なタイミングで業務を依頼することで人手不足・人材不足を解消することも近年増えてきました。
全ての業務をアウトソーシングするのは難しいですが、ノンコア業務で質より量を重視するような仕事は積極的にアウトソーシングしていくのが良いでしょう。
まとめ 多くの業務がオンラインでアウトソーシングできる時代に
いかがでしょうか。人手不足・人材不足を解消する手段や打ち手は意外とたくさんあるかもしれませんね。
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