【データで読み解く】日本の中小企業で人手不足が解決しづらい理由とその解決策について解説
人材不足を感じている企業が6割を超えているそうですが、
あなたの会社ではいかがでしょうか?
「この業務をこなせるピッタリの人材がいれば…」
「人手が不足していて現場が疲弊している…採用をしたいけどなかなか応募が来ない…」
そのように感じた方は多くないでしょうか?
あなただけではありません!他の社長さんや人事担当者の方も同じように悩んでいます。
この記事があなたの会社の人手不足をはじめ様々な問題を解決していく際の指針となりましたら幸いです。
目次
1.【2022年度版】日本における人手不足の現状
日本において人手不足は、中小企業で起きています。
大企業は福利厚生が整備されており、企業ブランドイメージも確立されているため、
企業が採用活動を行った際に多数の応募があるため人材確保に困ることは少ないでしょう。
しかし日本の場合、中小企業が全体の企業の99.7%を占めています。
日本の企業は「ほぼ」中小企業であるといっても過言ではありません。
(※出典:中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/PDF/chusho.html
「中小企業白書 2022年版」)
人手不足のため、店舗に人を置かずに営業する無人店舗も増えてきていますが、
企業活動において人材の確保は大変重要です。
企業の血肉といっても過言ではないのがそこで働く「人」です。
彼らが利益を生み出し、彼らが会社を作っています。
その「人」が不足しているとしたら、その会社はどうなってしまうでしょうか。
企業活動は停滞し、業績は下がり、ひいては倒産となってしまうでしょう。
下記の表は、生産年齢人口の世界の比較表です。()内は全人口に対しての比率です。
日本が生産年齢人口が減少しているのが分かります。
そして2050年には全人口の半分にまで下がることが予測されています。
1980年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 | 2025年 | 2030年 | 2050年 | |
日本 | 7,953 (67.5%) | 8,701 (68.2%) | 8,246 (64.1%) | 7,482 (59.2%) | 7,264 (58.6%) | 7,004 (58.0%) | 5,366 (50.7%) |
アメリカ | 15,093 (65.8%) | 18,583 (66.0%) | 20,646 (66.8%) | 21,514 (65.0%) | 21,667 (63.7%) | 21,767 (62.3%) | 23,176 (61.1%) |
中国 | 59,395 (59.4%) | 88,273 (68.4%) | 100,287 (73.3%) | 101,213 (70.3%) | 100,665 (69.0%) | 98,650 (67.4%) | 83,838 (59.8%) |
韓国 | 2,359 (62.0%) | 3,421 (72.2%) | 3,627 (73.2%) | 3,674 (71.7%) | 3,507 (68.3%) | 3,314 (64.8%) | 2,437 (52.0%) |
(※()内%は、対全人口比率)
(※出典:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2022/02/d2022_T2-04.pdf
第2−4表 ⽣産年齢⼈⼝(15〜64歳⼈⼝)|データブック国際労働比較2022)
加えて、日本の中小企業の半数以上が人手確保に苦戦しているという報道もありました。
(※出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/6c9133962c3e34eb05756cc0df7894f0ee47e1f3
【深刻】人手不足の企業が半数超 宿泊業で時間外労働急増 帝国データバンク)
就労可能な人口は年々減り続けていますが、企業が必要とする人材の量は減ることはありません。
そこで人材不足という問題が発生しているのです。
そして求職者は多様な求人の中から条件が良く自分がやりたい仕事を選ぶので、
求職者に選ばれない限り企業が人材を確保するのが難しいという状況に陥ります。
それが現在の日本の企業の状況だといえます。
2.特に人手不足が著しいと言われる6つの業界
(※ 出典:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/basic_data/index.html)
上のグラフでは、2011年以降従業員数が不足していると感じている企業が増え始め、
特に建設業において人材不足感が強いという結果を読み取ることができます。
人手不足が著しいと言われる業界は段々固定化されてきています。
理由は、人材が増えていかない理由が断固として存在しそれを改善していくのが難しいことが多いためです。
特に人手不足が叫ばれている業界は以下の6つの業界となります。
2-1.物流・運送業界
インターネットの隆盛により、ネットショッピングが増え、
個人の買い物での荷物の輸送量が増えたことに加え、
新型コロナウィルス流行以降おこもり需要が増えさらに物流量増加に拍車がかかる形となりました。
配達数の増加により、再配達の依頼も増えて残業が増加したことに加え、
物流業界は他の業界と比較して、給料が低い傾向があり、
その低さも離職と応募数が増えない現実に繋がっていると思われます。
2-2.医療・福祉業界
高齢化により入院患者数は右肩上がりで、
入院ベッド数に応じて看護師の配置人数が法律で決まっています。
どうしても看護師の人数が必要になってきますが、
必要なのは看護師だけではなくコメディカル(医師と共に医療に携わる医療専門職種の総称)
も同様に必要になります。
医療業界は労働集約型の業種であり人件費が大部分を占めるため、
「人」がいないと成り立たないことに加え、
人の命を預かるというプレッシャーや夜勤などの労働環境の大変さも加味され、
有資格者になるまでには資金や時間がかかることもあり、常に人材不足となっています。
2-3.宿泊業界
宿泊施設はその仕事上、24時間365日稼働しなければなりません。
今いるお客様へのおもてなしと来館予定のお客様の準備に追われています。
そのため業界的に、低賃金と長時間労働が慢性化してしまっています。
正社員であれば福利厚生などもあり、留まることもあるかもしれませんが、
非正規でそのような環境であれば辛いと感じることが多いと言えるでしょう。
目の前の仕事量の多さに加え、低賃金、長時間労働…
お客様をおもてなししたいと思って入職しても、
目の前の現実に打ちのめされ離職するケースが後を絶たないケースが多いのではないでしょうか。
2-4.建設業界
建設業界は、作業員の高齢化が進んでおり、年功序列の色が濃い業界となっています。
高齢化した作業員は今後引退していくことが予想されていますが、
若い入職者も、せっかく入職しても年功序列や業務のハードワーク、
3Kと言われる労働環境の劣悪さに離職をしてしまうケースが後を絶ちません。
また、技能を身に着けるのに長い時間がかかる(概ね10年と言われている)こともあり、
一人前になるのに時間がかかることも懸念材料となっています。
建設業界自体のイメージが良くないことから、求人応募が少ないこともあり、
国も建設業界全体の若手入職のための対策を打ち出していますが、
今後人材確保に繋がるのかどうかは未知数です。
2-5.情報(IT)業界
IT業界は、スキルの習得に時間がかかることに加え、技術革新が続々と進んでいくことから、
求められているスキルを保持している人材を育成するのに時間がかかり、
スキル保持者が少ない傾向があります。
華やかでスマートなイメージを持たれるIT業界ですが、
「IT土方」と言われる、低報酬で長時間労働を余儀なくされていることもありますし、
「デスマーチ」という過酷な労働環境の現場を表す俗語もあることから、
現場の仕事内容は大変であることが伺えます。
このような現実から、離職に繋がることが多いといえるでしょう。
2-6.飲食業界
帝国データバンクの資料では、77.3%の飲食店が「非正社員が不足している」と回答しています。
(※出典:https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20221021.php 2022年9月調査)
飲食店は医療・福祉業界、建設業界と同じく労働集約型の業種です。
(※労働集約型とは…労働力に対する依存度が高い ということを指します。)
「人」がいないと成り立たない業種は人手不足に陥りやすいといえます。
飲食業界は、勤務時間が長く、業務量が多いことも挙げられます。
多くが立ち仕事のため、事務職などと比べると体力を消耗します。
入職者が比較的多いですが、賃金も安く、長時間労働があり、
アルバイトでも社員と同様の動きをしていることもあり、将来が見えなくなり離職が増えていきます。
3.企業が人材を確保しにくくなった原因
生産年齢人口の減少に伴い、求人数に対して求職者の数が減っていることから、
求職者は自分に合った仕事を求めるようになってきています。
仕事のやりがいや自分のスキルを加味して、
より好条件の仕事に就こうと考えている求職者が多いです。
そのような状況で、大多数の中小企業はうまく自分の会社の良さ、
働くことで得られるメリットを求職者にうまく伝えることが出来ないと、
求人を出しても応募が一切ないことになってしまいます。
ブランドイメージがある大企業とは違い中小企業はその多くが知られていないため、
まず知ってもらい、どのような会社なのか自社で働くことで得られるメリットを
ちゃんと訴求することが出来ないと、応募に繋がりません。
そのため人材確保に苦労している企業が増えています。
4.日本が人手不足を今すぐ解決できない2つの理由
4-1.正社員の賃金が上がらない
正社員は基本的に終身雇用となるので、給料を支払い続けないといけません。
この先10~20年の経済の見込みを考えて給料を決めるため、
現在のように日本経済が上向いていくとは考えられない場合、
継続雇用が前提の正社員の賃金(基本給)を簡単に上げることはできません。
そのため正社員の給料は上がらず、そういった将来の心配がないパートやアルバイトの賃金は少しづつ上がっているのです。
賃金が上がらないためなかなか労働者の移動が起こらず、
人員が余剰な会社は依然として人件費を過剰に支払い、
人手不足の会社はさらに人員が不足していくという負のスパイラルが起こっています。
4-2.人口が減少している
2025年までに日本国民の4人に1人が後期高齢者になることで、
様々な社会問題が発生すると言われています。
日本は少子化の一途をたどり、今後出生率が上がることもほぼ考えられないため、
人口はますます減少し、社会的な経済活動も縮小されていく流れに陥ります。
AI化などの動きもありますが、人手不足はますます進行し、改善されるのは難しいと思われます。
5.今後、人手不足を解消できない時に起こり得る最悪のケースとは
企業が人手不足を解消できない時には、最悪の場合業務が滞り、
事業縮小をしないといけなくなったり、最悪の場合倒産となってしまいます。
倒産にも色々な種類がありますが、人手不足が理由で倒産した場合は、人手不足倒産と呼ばれます。
(※出典:帝国データバンク 全国企業倒産集計2022年8月報https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/pdf/2208.pdf)
2022年8月の倒産件数のうち、人手不足倒産の件数は、13件(前年同月10件、30.0%増)とあり、
2ヵ月連続で前年同月を上回っており、緩やかに増加が続いています。
6.本気で人手不足を解消したい企業が行うべき3つの解決策
本気で人手不足を解消したい企業が行うべき解決策をご紹介いたします。
6-1.DX化
業務をマンパワーで行うのではなく、PCで行うことが出来る場合は、
どんどんPC上で行えるようにしていくことで、一部在宅勤務が可能になることで、
効率が良くなり一人当たりの生産性が上がるので、新たに人を雇わなくても業務が進むようになります。
6-2.業務改善
業務の見直しをしていくことは容易ではなく、時間も労力もかかることです。
目先の利益を産むようなことではないかもしれませんが、
業務の見直しで無駄を見つけ、改善できるところは改善をしていくことで、
一人当たりの生産性が向上し、少ない人員で業務を回していくことが可能になります。
6-3.給料や労働環境の見直し
離職の原因となっている今の労働環境を改善することで、社員が離職するのを防ぎます。
給料の見直しは慎重に行わなければならないですが、
有給休暇をきちんと取れるようにすることや、長時間労働の是正など、
職場風土の見直しは従業員の満足度に直結するので、ぜひ行いたい項目です。
まとめ
今後日本の人口減少や人手不足を止めていくことはかなり難しいでしょう。
今ある資源を最大限生かす方法や業務効率化、アウトソーシングを利用して固定費の削減をするなど、
多様な手段を用いてこの課題に向き合っていきましょう。
あなたの社長室では、クラウドチームというアウトソーシング事業を行っております。
「こういうスキルの人材がいるか知りたい。」「この作業だけ請け負ってもらえない?」等
お困りのことがございましたら是非一度お声を聞かせ下さい。
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